mojuniの日記

猫イラストレーターmojuniが遂に手に入れたキャンプの様な山暮らし、時々イラスト

生への情念

再び「愛と死を……」ですが、40年前の時と比べて今回のドラマはほんとに良くできていたと思います。何故って、うちの相棒までが感動してたから。リアルタイムのブームの時は私がひねくれていたからか、どうも「青春・純愛・お涙頂戴」の典型という感じがしていましたが今回のものはまずミコがステロタイプを抜け出して生き生きとした個性を持っていました。この40年で女性がいかに主体性を持つようになったかを反映しているのでしょうか。

それと一番印象的なのは主題歌。とにかく「怖い」歌になっていたのです。キーも変えたのかどうか、腹の底から声が出ていて媚びない歌い方。原曲にない「あぁ〜」という声が加えられているところ、あの「あぁ〜」がすごく怖い。怖いけどすごくいい。古い阪大病院の暗くおどろおどろしいムードとあいまって、生きることへの「情念」すら感じます。愛する人と一緒に生きていたい、という上っ面だけでなく、去らねばならぬこの世への無念さ。生あるものならみんな最期の時にはき出していくのだろうかと思えるような情念。死というものが自分のものとして身近に感じられました。これも怖いけどすごい。

大島みち子さんが入院していた当時の阪大病院の正面玄関、よく知っています。ここは手塚治虫の「きりひと賛歌」、さらには「白い巨塔」の舞台でもありました。(今では何と検察庁になってます)あの場所で40年以上前に起こっていた二人のドラマ、手紙を公開したからどうのこうのとの非難もありましたが、今回のドラマ化によって多くの人々にとって自分自身の疑似体験となり普遍的なものとなったのではないでしょうか。大島みち子さんはこれからも人々の心の中で長く生き続けると思います。